
「顧客体験を改善したいが、自社だけでは何から手をつけるべきか分からない」「CXコンサルティング会社の違いが見えず、選定基準に迷っている」——そうした課題を抱えるマーケティング部門や経営企画の方へ向けた記事です。本記事では、CXコンサルティングの基本から会社選びの比較ポイント、成果につなげる活用法までを解説します。顧客体験の向上と企業成長を実現するためのヒントをお届けします。
CXコンサルティング会社に依頼する意義
CXコンサルティング会社を選ぶ前に、まずCX(Customer Experience:顧客体験)コンサルティングとは何か、なぜ今多くの企業が専門会社の力を求めているのかを理解しておく必要があります。CXの向上は一時的なキャンペーンではなく、企業の持続的な成長を支える経営テーマとして認識が広がっています。
この章では、CXコンサルティングの定義と重要性、そして外部の専門会社に依頼する意義を3つの観点から整理します。
CXコンサルティングとは何か
CXコンサルティングとは、顧客が企業やブランドとのあらゆる接点で得る体験を分析・設計・改善するための専門的な支援サービスです。商品の購入前から購入後のサポートまで、顧客が体験するすべてのプロセスを対象とします。
具体的には、顧客の行動や感情を可視化する調査・分析から、改善施策の立案、実行支援、効果測定まで幅広い領域をカバーしています。CXコンサルティング会社の価値は、こうした一連のプロセスを体系的に推進できる知見と方法論を持っている点にあります。
「顧客満足度を上げたい」という漠然とした目標を、データと戦略に基づく具体的な施策へ落とし込む——これがCXコンサルティングの本質的な役割だといえるでしょう。
CX向上が企業の業績を左右する理由
日本においても、商品やサービスの機能・価格だけでは差別化が難しい時代に入り、「どのような体験を提供するか」が競争力の源泉となりつつあります。顧客体験価値の高い企業は、リピート率や口コミによる新規顧客獲得率が高く、結果としてLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の向上に直結するのです。
CXへの投資は「コスト」ではなく「収益を生む仕組みづくり」であるという認識が、経営層に求められているといえます。
自社だけでCX改善が難しい構造的な背景
CXの改善が重要だと理解していても、自社だけで実行するにはいくつかの構造的な壁が存在します。最も大きな壁は、CX改善が部門横断の取り組みであるという点です。
マーケティング・営業・カスタマーサポート・商品開発・IT——顧客体験は複数の部門にまたがって形成されるため、一つの部門だけの努力では全体の体験を最適化できません。加えて、以下のような課題を抱える企業も少なくないでしょう。
- 顧客データが部門ごとに分散し、統合的な分析ができていない
- CX改善の専門知識やフレームワークを持つ人材がいない
- 日常業務に追われ、中長期的な改善施策に手が回らない
こうした課題を解決するために、部門横断の視点と専門的な方法論を持つCXコンサルティング会社の力を借りることは、合理的な選択だと考えられます。
CXコンサルティング会社が提供する主な支援内容
CXコンサルティング会社の支援内容は多岐にわたり、会社ごとに強みも異なります。自社の課題に合った支援を受けるためには、サービスの全体像を把握したうえで、どの領域の支援が必要かを見極めることが重要です。
ここでは、多くのCXコンサルティング会社が提供している代表的な3つの支援内容を紹介します。
顧客理解の深化とカスタマージャーニー設計
CX改善の出発点は、顧客を深く理解し、その行動・感情・期待を「カスタマージャーニーマップ」として可視化することです。カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを認知してから購入・利用・再購入に至るまでの一連の体験プロセスを指します。
CXコンサルティング会社は、定量データ(アクセスログ、購買データなど)と定性データ(インタビュー、アンケートなど)を組み合わせて顧客像を立体的に描き出します。そのうえで、各接点における顧客の「期待」と「実際の体験」のギャップを特定し、優先的に改善すべきポイントを明らかにするのです。
自社の思い込みではなく、データに基づいた顧客理解から始めることが、的確なCX施策の土台になるといえるでしょう。
顧客接点の最適化とオムニチャネル戦略
現代の顧客は、Web・アプリ・店舗・電話・SNSなど複数のチャネル(接点)を行き来しながら企業と関わっています。CXコンサルティング会社は、これらの接点を統合的に設計し、チャネルをまたいでも一貫した体験を提供できる仕組みづくりを支援します。
たとえば、以下のような施策が典型的な支援内容です。
- Webサイトとコンタクトセンターの情報連携による対応品質の均一化
- 店舗とECサイトの顧客データ統合によるパーソナライズ施策
- SNS上の顧客の声を商品改善やサービス設計にフィードバックする仕組み
チャネルごとの最適化だけでなく、チャネル間のつながりを設計する視点こそが、CXコンサルティング会社ならではの付加価値だと考えられます。
VOC分析と改善サイクルの構築
CX向上を一過性の施策で終わらせないためには、VOC(Voice of Customer:顧客の声)を継続的に収集・分析し、改善サイクルとして定着させる仕組みが欠かせません。CXコンサルティング会社は、この仕組みの設計と運用定着まで支援するケースが増えています。
具体的には、アンケート、NPS(Net Promoter Score:顧客推奨度を測る指標)調査、コンタクトセンターへの問い合わせ内容の分析などを通じてVOCを体系的に把握します。そこから得られた示唆をもとに施策を実行し、再度効果を検証する——このPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回し続ける体制を構築するのです。
「調査して終わり」ではなく「改善し続ける組織」になることが、CX向上の本質だといえるでしょう。
失敗しないCXコンサルティング会社の選び方
CXコンサルティング会社は数多く存在し、それぞれに得意領域やアプローチが異なります。自社の課題と合致しないパートナーを選んでしまうと、時間もコストも無駄になりかねません。
ここでは、CXコンサルティング会社を選定する際に確認すべき3つのポイントを解説します。
自社の課題フェーズと支援領域の一致を確認する
CXコンサルティング会社を選ぶ第一歩は、自社が現在どのフェーズにいるのかを正確に把握し、そのフェーズに適した支援を提供できる会社を選ぶことです。CX改善の取り組みには段階があり、フェーズによって必要な支援内容は大きく異なります。
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フェーズ |
主な課題 |
求められる支援 |
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現状把握 |
顧客体験の全体像が見えていない |
調査・分析・ジャーニーマップ作成 |
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戦略策定 |
改善の方向性や優先順位が定まらない |
CX戦略の立案・ロードマップ設計 |
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施策実行 |
計画はあるが実行リソースが不足 |
施策の実行支援・運用設計 |
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定着・改善 |
一時的な施策で終わり継続できていない |
改善サイクルの仕組み化・組織変革支援 |
「戦略策定に強い会社」と「実行支援に強い会社」では提供価値が異なるため、自社のフェーズとの一致を慎重に確認しましょう。
実績・業界知見・実行支援力を比較する
CXコンサルティング会社の選定では、自社と同業種・同規模での支援実績があるかどうかが重要な判断材料となります。業界によって顧客の期待値や接点の構造は大きく異なるため、業界特有の知見を持つ会社のほうが的確な提案を期待できます。
比較の際に確認すべき項目は以下のとおりです。
- 支援実績:公開事例やケーススタディで成果を確認できるか
- 業界知見:自社の業界における顧客行動やトレンドを理解しているか
- 実行支援力:戦略の提案だけでなく、施策の実行・運用まで伴走できるか
- 担当体制:経験豊富なコンサルタントがプロジェクトに関与するか
「提案は良かったが実行段階で手が止まった」というケースは意外と多いため、戦略と実行の両方をカバーできる会社を選ぶことが成功への近道です。
費用体系と成果指標の設定方法を確認する
CXコンサルティングの費用は会社やプロジェクトの規模によってさまざまです。「何に対していくら支払うのか」と「どのような指標で成果を測るのか」を契約前に明確にしておくことが、後のトラブルを防ぎます。
費用体系の主なパターンとしては、以下があります。
- プロジェクト型:特定のテーマに対して期間と成果物を定め、一括で費用を設定する
- 月額リテイナー型:継続的な支援を月額固定費で受ける
- 成果連動型:NPSスコアや顧客満足度などの改善指標に連動して費用が変わる
また、成果指標についても「NPS」「顧客満足度(CSAT)」「LTV」「リピート率」など、自社の事業特性に合った指標を委託先と合意しておくことが重要です。指標が曖昧なままでは、プロジェクトの成否を正しく評価できません。
まとめ
本記事では、CXコンサルティングの基本から主な支援内容、CXコンサルティング会社を選ぶ際の比較ポイントまでを解説しました。改めて要点を整理します。
- CXコンサルティングとは、顧客体験の分析・設計・改善を専門的に支援するサービスであり、企業の収益向上に直結する経営テーマ
- 支援内容はカスタマージャーニー設計・接点最適化・VOC分析など多岐にわたるため、自社の課題フェーズと会社の得意領域の一致が選定の鍵
- 選定時には実績・業界知見・実行支援力・費用体系を比較し、戦略と実行の両面で伴走できるパートナーを選ぶことが成功の要件
顧客体験の変革は、一朝一夕で成し遂げられるものではありません。しかし、適切なパートナーとともに取り組むことで、着実に成果を積み上げることができます。パーソルコミュニケーションサービス株式会社は、「接点から、感動を」というミッションのもと、お客さまの顧客体験価値向上を支援しています。
CXコンサルティングの導入や顧客接点の改善についてご関心をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。当社問い合わせフォームよりお問い合わせいただけます。
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よくあるご質問
プロジェクトの規模や支援範囲によって大きく異なります。顧客調査とジャーニーマップ作成のみであれば数百万円程度、CX戦略の策定から施策実行まで包括的に支援を受ける場合は年間で数千万円規模になることもあります。まずは自社の課題と予算を整理したうえで、複数のCXコンサルティング会社から提案を受けて比較するのが良いでしょう。
マーケティング会社は主に「集客」や「販促」など特定の施策領域に強みを持つのに対し、CXコンサルティング会社は顧客体験の全体設計——認知から購入後のサポートまで——を包括的に支援する点が大きな違いです。部門横断でCX全体を最適化したい場合はCXコンサルティング会社、特定チャネルの施策強化にはマーケティング会社が適しています。
代表的な指標には、NPS(顧客推奨度)、CSAT(顧客満足度スコア)、CES(顧客努力指標:顧客が目的達成にどれだけの手間を感じたかを測る指標)、LTV、リピート率などがあります。自社の事業特性と改善の目的に合った指標を選び、プロジェクト開始前にベースラインを測定しておくことで、施策の効果を客観的に評価できます。